KNOWLEDGE
歯周病の知識
歯周病とは
歯肉病変(歯ぐきの病気)
歯周病は、歯肉炎と歯周炎の総称であり、口腔内の細菌感染症です。細菌の存在により炎症が引き起こされ、歯周組織が損傷します。
歯肉炎は歯茎の腫れを特徴とする疾患であり、歯周組織が破壊されていないため、適切な歯みがきにより元の状態に戻すことができます。
一方、歯周炎は歯茎の腫れや歯の揺れ、噛むことでの痛みをもたらす病態で、歯を支える骨が溶けること で最終的には歯が抜け落ちる状態に至ります。
歯周組織とは
歯の周囲の組織のことで以下の4つの組織で構成されます。
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歯肉(歯ぐき)
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セメント質(歯の根の表面を覆っている組織)
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歯根膜(歯と歯槽骨を結ぶ線維)
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歯槽骨(顎の骨)歯はこの骨の中に植わって支えられています。
口の中の細菌はどこにいる?
口腔内には口腔常在菌と呼ばれる細菌が存在します。これらの細菌は歯に付着したネバネバした物質、通称プラーク(歯垢またはバイオフィルムとも呼ばれる)の中に集まっています。
歯磨きを行うことでこれらの細菌を取り除くことができますが、適切な歯ブラシや歯間ブラシを使用せずに行うと完全に除去することは難しいです。そのため、個々の口の状況に応じた清掃用具や適切な歯磨き方法を実践することが重要です。
歯磨きは些細なことのように思われるかもしれませんが、実際には歯を健康に保つ上で非常に重要な役割を果たしています。
歯周病の原因
歯周病には3つの因子があります。
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細菌因子:歯周病原細菌(細菌の塊をプラークあるいはバイオフィルムと称します)
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宿主因子:噛み合わせ、ホルモン、年齢、性別、歯ぎしりやくいしばりの習慣など
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環境因子:喫煙、糖尿病、ストレスなど
これらの危険因子を取り除くことが歯周病の治療になります。
歯周病の種類
歯ぐきの病気である歯肉病変には、プラーク性歯肉炎と非プラーク性歯肉炎の2種類があります。プラーク性歯肉炎は、主にプラーク(細菌の集合体)によって引き起こされ、歯ぐきの発赤や腫れが特徴です。一方、非プラーク性歯肉炎は、ホルモンや全身疾患、あるいは特定の薬物の影響によって引き起こされ、歯ぐきの発赤や腫れが見られます。
歯周炎は、歯の周りの組織の疾患であり、そのうち約9割が慢性歯周炎です。慢性歯周炎は、歯周組織の破壊が進行し、軽度、中等度、重度の程度で分類されます。また、限局型(数本の歯に影響)と広汎型(多数の歯に影響)にも分類されます。
侵襲性歯周炎は、1型糖尿病に関連し、通常は若い世代で発症する歯周炎です。特定の遺伝的要因や歯周組織の破壊パターンが見られる場合があります。
その他の歯肉および歯周に関連する疾患には、歯肉退縮や咬合性外傷などがあります。また、壊死性歯周炎や歯周組織の膿瘍なども挙げられます。
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歯周病セルフチェックもございますのでお試しください。
歯周病の進行と治癒
歯周病は 、歯肉炎から段階的に進行し、慢性歯周炎へと悪化します。
健康な状態
健康な状態では、歯ぐきは薄いピンク色で引き締まっています。
歯肉炎
歯肉炎は、歯周病の初期段階であり、プラークや少量の歯石がたまり、歯ぐきに炎症が起こり、赤く腫れたり出血したりします。この段階では、まだ歯の根を支える骨であるセメント質、歯根膜、歯槽骨の破壊は起こっていません。
軽度歯周炎
軽度歯周炎では、歯周ポケットが3~4mm程度で、歯槽骨の一部の破壊が見られます。基本治療によって、ほとんどが完治します。進行すると、中等度歯周炎に移行します。
中等度歯周炎
中 等度歯周炎では、歯周ポケットが4~5mmで、歯槽骨の破壊が進行しています。歯ぐきの腫れ、出血、膿の排出がみられる場合があります。また、歯の揺れも感じられることがあります。
重度歯周炎
重度歯周炎では、ポケットが6~7mm以上に深くなり、歯槽骨の破壊が著しく進行しています。多量の歯垢や歯石が付着し、歯周組織が著しく破壊され ています。歯は揺れ、噛むことが痛みを伴うようになります。根分岐部の破壊が進行すると、治療が複雑になり、歯の保存が困難になります。